不思議な事ですが季節の訪れと共に自然と心の中に流れてくる曲があります。
もう20年ぐらい前に過ぎた春の感触がメロディーに乗り運ばれてくるのです。
今回の音楽紹介は90年代前半に隆盛を極めた春にピッタリなアシッドジャズを紹介します。(主観ばかりですがご了承願います。)

ジェームス・テイラー・カルテット/in the hand of the inevitable
1995年作品
ジェームス・テイラー率いるアシッド界最強のユニットで最強のアルバムなのではないでしょうか。春の心地よい暖かさや希望を感じつつナーバス感も入り混じったソウルフルな曲の数々です。演奏のテクニックもさることながらピアノ、サックス、ハモンドオルガンといったジャズの定番楽器からフェンダー・ローズ、ミニモーグまでを駆使して仕上げているのですから心踊ってしまいます。JTQのアルバムはこれ以前もこれ以後もたくさん出ていますが、駄作がないところも彼らのすばらしいところなのです。

ブラン・ニュー・ヘヴィーズ
1992年作品
この時代のアシッドジャズ界を代表するグループ。ライブがあるなら是非行きたかった。こんな連中が目の前で生演奏してくれたらきっと最高の気分だろうなと、叶わぬ想いが心の中を巡ります。

ジャミロクワイ/Emergency On Planet Earth
1993年作品
おそらくアシッドジャズ界を飛び越え一番メジャーになったグループでしょう。このアルバムを初めて聴いたときにすぐに好きになった事を覚えています。1stアルバムとは思えないほどの完成度の高さでしたがそれ以降はフェードアウトだったのが残念でしたね。

ディー・ノート/BABEL
1993年作品
春っぽいわけではないですが異質感が強い故に並べたくなりました。やや宗教チックな雰囲気なのはタイトルである旧約聖書のバベルの塔の世界観を表現しているからなのでしょう。このアルバムの不思議なところはロバート・デ・ニーロの主演映画「タクシードライバー」の台詞を使っている事とエイベックスから発売している事といた具合に神秘に満ち溢れています。

ACID JAZZ MEETS FREE SOUL
1998年発売
当時、とにかくアシッドジャズで多かったのが本作のようなコンピレーションアルバムです。しかしなんの、これが秀逸な曲が発見できたりアーティストを知るきっかけになったりと非常にありがたい存在でした。特に本作のような総集編のようなアルバムは名曲ぞろいで美味しいし初めて聞こうという方にもイイですね。

リミックス・トラックス/NEW JAZZ & SOUL ISSUE
1993年発売
何か自分を満たしてくれる音楽はないかと貪欲に曲を探し求めていた時代。DJの知り合いやインターネットもなにもない中。唯一の手がかりが「remix」のような音楽雑誌でした。思えばこのアルバムの解説書でアシッドジャズのイロハを学んだような気がします。これに続くシリーズを集めていた私も変わり者なのかもしれませんが。